建築物に欠かせないセキュリティー事情

防犯カメラ

建築物に欠かせないセキュリティーとはなんでしょう?

住宅や倉庫、美術館や銀行など、建築物に講じられるセキュリティーはさまざまです。かつては日本において「水と安全はただである」とまで言われました。しかし現代社会における安全性の確保という観点から、セキュリティーシステムの存在価値は、疑いようのないものとなってきています。

ここでは実際のセキュリティーシステムの特徴や様式から、現代社会においてわたしたちが必要とするものが何なのか、考えていきたいと思います。

センサーによる侵入者検知

センサーの種類

センサーにはその検知方法によっていくつかのタイプがあります。代表的なものは赤外線センサーを内蔵したセンサーライトです。これは一定範囲内に侵入した移動する熱源を感知すると、ライトなどを照らして威嚇、警告するものです。熱源であれば人間以外、猫や鳥などの小動物に反応することがあります。

レーザーセンサーは熱源ではなく、照射されたレーザーの遮蔽状態によって侵入者を検知するもので、映画などによく登場するタイプです。
温度変化には反応しないため、熱源に対しては誤作動を起こしません。

常に監視用のレーザーを網のように張り巡らせることによって、それを遮るものに対して反応します。風による飛来物や、猫や鳥などに対する誤作動は生じます。最近では遮蔽物の移動距離や速度、滞留時間などの複数条件から、小動物や飛来物による誤作動を減らしたタイプも存在します。

画像センサーは高度画像認識技術によって、侵入者を検知するハイテクセンサーです。人間が監視カメラの映像を見て侵入者を発見するように、機械が同じことをするというのが基本的なシステムの骨子です。

人工知能などのコンピューターシステムとの連動で、誤作動が限りなく少ないことと、温度差や暗闇など、人間の目では検知できない侵入者も補足することができます。

複合型セキュリティーシステムの登場

最近では複数の特徴を併せ持つタイプも存在しています。さらにオンラインシステムによって警備会社と連携し、緊急性の高いトラブルへの対処が可能になりました。

なにか問題が起きていれば、すぐに情報通信ネットワークによって連絡が入り、すぐに警備員が駆け付けるシステムなどが有名です。

これらはシステム任せにならないよう、人的なセキュリティーの長所を、最大限に発揮することができるようになっているのです。

生体認証による入退室管理

生体認証とはなにか

生体認証とは、主に個人の身体的特徴を利用して個人認証を行うシステムです。

映画などに登場する指紋認証や網膜パターン認証はすでに実用化され、スマートフォンや銀行のセキュリティーシステムに利用されています。特定エリアへの入退室を管理するセキュリティーシステムにも応用されています。

生体認証の種類

指紋認証は最も古い生体認証システムであり、最も一般化されたセキュリティーシステムです。

人間の指紋は手軽で確実な個人認証の方法であり、犯罪捜査にも利用されています。スマートフォンのホームボタンには、指紋認証によってパスワードをスキップする機能が付いているものがあります。銀行では暗証番号との同時利用によって、よりセキュリティー性能を高めています。

眼球の網膜、虹彩パターンや手の血管パターン、声紋を利用したシステムなど、どれも実用化され、実際に運用されている生体認証システムです。

生体認証の課題と未来

生体認証システムには、個人認証システムとしての精度問題が存在します。

つまり本人であるにも関わらずそう判定されないことや、他人が本人と判定されてしまうケースです。

前者は精度を上げすぎたために、ちょっとした外的要因で認証ができなくなるパターンです。指紋は指に少しでも傷があれば認証できなくなるなどのケースが考えられます。

後者は精度が低すぎるか、指紋をゼラチンなどで偽造することでシステム防御を回避するというパターンです。どちらも試験的に実証され、実際に偽造事件が起きています。

今後はDNAなど、究極の生体認証システムが確立されていくことになるのかもしれません。

ガラスの強化による防犯

住宅への侵入は窓ガラスから

空き巣などの侵入盗の多くは、実にその60%がガラス窓から侵入してきます。

玄関ドアをピッキングして侵入するよりも、はるかにリスクが低いからです。

つまりどれだけ堅牢な錠前を玄関に取り付けたとしても、窓ガラスになんの防犯対策も取らなければ、あまり意味がないということになります。これらの調査結果から、セキュリティーを考える場合、窓ガラスは必須事項ということになるのです。

さまざまなガラスの防犯性能

窓ガラスは建築物の外壁に比べれば非常に割れやすく、それだけ侵入が容易です。

内部にワイヤーが張られたガラスは、一見すると防犯対策を施されたもののようにも見えます。

しかしこの網入りガラスは火災に窓ガラスが熱よって割れた場合、破片が飛散することを防ぐことが最大の目的です。防犯性能は備わっていません。
ちなみに、網入りガラスが割れた場合は、ガラス屋さんに頼めばその日のうちにでもガラス修理できます。

強化ガラスはどうでしょう。

ガラス板を特殊な張力によって割れにくくした強化ガラスは、割れたときに粒上になるという安全性から、自動車のフロントガラスに使われます。しかしこれも、割ること自体は簡単なので防犯効果は期待できません。

二重ガラスはどうでしょう。

ガラスが二重構造になっているのは主に断熱効果を高めるためであり、強度は増していません。割れやすいガラスが二枚重なっているだけで、防犯性能は向上していないのです。

ただしそれらは強度こそ高くありませんが、侵入時の破砕音が大きくなるため、侵入盗が嫌がるケースがあります。間接的な防犯性能の向上は期待できるのです。

防犯ガラスは、その名の示すとおり最も防犯性能が高い窓ガラスのタイプです。

防犯ガラスはたいてい二枚のガラスの間にポリカーボネイトの板などを挟みこんであります。

これは貫通させるためには外側のガラスを割った後、中間にある板に穴を開け、さらにその向こうのガラスを割る必要があります。侵入に時間がかかるため、かなりの防犯効果が期待できます。

もし、防犯性の高い窓ガラスに交換したい場合は、ガラス屋さんに頼みましょう。ガラスの交換だけでなく、割れた場合もガラス修理をしてくれます。
空き巣や強盗などに侵入されてからでは、後の祭りです。

まとめ

現代社会ではさまざまなセキュリティーシステムが、わたしたちの生活を守ってくれています。犯罪が凶悪化するとともに、セキュリティーシステムも進化を続けてきました。

いまやハイテク技術を使ったシステムは、一部の富裕層のためだけのものではないのです。犯罪者は狙いやすいところを狙います。セキュリティー意識が低ければ、それだけリスクを負うことは間違いないのです。

今後、防犯意識とともに、窓ガラスなどにも注力を注ぐ総合的なセキュリティーシステムが、ますます必要とされていくことでしょう。